2019年10月31日

令和元年度 9月のおたより

今年の夏も猛暑に悩まされましたが、皆様は、ご家族で、楽しい夏の思いでを作られたでしょうか。楽しい思い出を話してくれる子ども達は、背丈も一回り大きくなり、陽に焼けた笑顔を見せてくれながら、声も大きく、とても賑やかです。夏という季節が特にそうなのか、夏休み明けにエネルギーを蓄えた子ども達の成長ぶりには、いつも驚かされます。この子ども達の心と身体の成長を、より確かなものにするためにも、2学期以降の園生活を充実させなければと、私たち教職員も気を引き締めて頑張りたいと思っております。


さて、私もエネルギーを補給するために、研修でとても興味深いお話を聞いて参りました。慶應義塾大学の教育経済学者、中室牧子先生の「教育に科学的根拠を」という講義で、シカゴ大学(米国)で、20年程前から行なわれている幼稚園教育プログラムの実証実験についてのお話でした。昨今、世界的に幼児教育が注目を集めるようになったのは、1960年代半ばに始まった実証実験で科学誌サイエンスに発表されたペリー幼稚園プログラムが根拠となっているのですが、その後の新しい実証実験についてのお話でした。この実験のために、とあるヘッジファンドから拠出された10億円で作られた幼稚園での実験で、ひとつは読み書き、算数などを習得させる認知能力中心の幼稚園教育、2つめは自分で考える力を重視し、自制心や人との協働性、勤勉性や、やり抜く力など非認知能力を伸ばす幼稚園教育、3つめは集団生活を経験させずに、保護者の努力で育てるという3つのグループに子ども達を分けてその後の成長を比較検証するというものでした。

すると、今現在20代前半に成長した子ども達ではありますが、その個人のIQ(知能指数)の差はあまり関係なく、非認知能力を高める幼稚園グループに属する子ども達の成長が、人間関係は良好で、就学率、就職率は高く、犯罪率は低く、全てに、より優位な状況に成長している、と言う研究結果が示されているそうなのです。

中室先生は、日本の教育現場ではこの「実験」という科学的手法が馴染まない為に、良さそうなことが「なんとなく政策に織り込まれ、なんとなく消滅していく」を繰り返しているという現状への問題提起をされ、次に諸外国の科学的根拠に基づいた教育プログラムの取り組みについてもお話し下さいました。「子ども」と言われる年代の中で施される教育の中で、最も効果が高く表われるのが、幼児教育であり、だからこそ、その質が問われる、と言うことも語られました。粗製濫造で数を増やし、質の担保がされない幼児教育では、その教育的効果がないばかりか、むしろマイナスな影響を受けて成長してしまうということも、カナダの実証実験の結果から警鐘され、今後、起こりうる日本の問題を指摘されていました。

幼児教育の無償化も始まりますが、改めて日本の幼児教育の現状を踏まえると、なんとなく消え去ることのないように、幼児教育の果たす教育的効果を検証する必要性と果たすべき責任を感じるお話でした。

 さて、2学期が始まると、幼稚園を心待ちにしていた子どももいる一方で、お家での生活が心地よく、集団生活に、戸惑う姿もあるかもしれません。園では、そんな一人ひとりを丁寧に受け止めながら、徐々に園生活のリズムを取り戻せるように、過ごしたいと考えております。ご家庭でも、あまり焦らせずに、ゆっくりと見守れるくらいの余裕を持って、朝の準備や帰宅後の過ごし方にご配慮いただければと思います。園では、遊びの環境や活動の中で、仲間と関わる楽しさや自分なりに園生活を主体的に過ごすことに喜びを感じられるようにしていきたいと考えておりますので、子ども達の意欲を高める為にも「早寝、早起き、朝ごはん」のご協力を、宜しくお願い致します。

 この2学期には、園生活の節目となる大きな行事として、10月の運動会がありますので、9月の半ば頃から子ども達の気持ちが、運動会に向けられるようにしていきたいと考えています。行事は、子ども達にとっての楽しみでもあり、成長の礎にも繋がります。園では、どの行事も子ども達が、好きなこと、または苦手なことにも出会う多様な経験のひとつとして捉えていますので、そこに向かう日常が行事ありきにならないようにも心を配りたいと考えております。行事の度に「やらされている」という感覚で、練習に明け暮れないように、子ども達が、自分なりに興味を持って、主体的に取り組もうとする姿を大切にしながら、導き支えていきたいと思います。また、この過程では、子ども同士の関係に様々な人間模様が見えてくることもありますが、どうぞ広い視野と長い目で見守り、お子様の心の中で起こる様々な葛藤を成長への布石として受け止めて頂きたいと思います。お子様の様子でご心配があるようでしたら、どうぞ遠慮なくお声かけ下さい。今学期も行事だけでなく、保護者の皆様には、ご協力を仰ぐ機会が多々あるかと思いますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
posted by はやし太郎 at 19:03| Comment(0) | 園だよリ
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