2019年10月31日

令和元年度 11月のおたより

 今秋は、青空をあまり眺めることも出来ず、季節の移り変わりが、いくつも押し寄せた台風に押し流されるかのように、瞬く間に寒気を呼び寄せてしまいました。


 それでも富士山の初冠雪は例年よりだいぶ遅いそうで、やはり温暖化による天候不順の影響は否めないように感じます。今年も運動会の日程を延期することになり、10月の週末の予定を、やむなく変更されたご家庭も多かったのではないかとお察し致します。お天気次第とはいえ、保護者の皆様のご協力に、本当に感謝申し上げたく存じます。幼稚園では、運動会以降も、手作りの万国旗や鈴を園庭に飾ると、子ども達の喜ぶ声が響きます。年長児の「夜のにぎやかな畑」の音楽が流れだすと、年中の女の子達も年長さんに衣装を借りて、振りを教えてもらいながら一緒にダンスを楽しむ姿が見られます。

 また、運動会前と変わらずに跳び箱や鉄棒、縄跳びに向かう年長児に混じって、年少児や年中児も果敢に挑戦する様子もあり、幼稚園中のどこを見ても、運動会にまつわる活動だけでなく、砂場やアスレチックでの遊びの様子に、学年やクラスの枠を超えた、子ども一人ひとりの興味や関心の「根」がしっかりと根付き始めているようです。そして、子どもと子どもの関わりの接点には、一人ひとりのやりたい「事(こと)」があるのですが、そのやりたいと思う遊びを介して、子ども同士の自然な関わりが生まれ、他者との関係性を主体的に学びあう姿があちらこちらで見られている、今は、そんな園児達の様子がとても活発に見られています。そこでは、どの子もが、気持ちに折り合いを付けたり、付けられなかったりと、子どもなりに、心の葛藤に苦労をしていますが、この経験は決して無駄にはならないと思います。一人ひとりの心の成長に繋がるように、ゆっくり、じっくりと見守り、時には向き合いながら、この育ちを支えていきたいと、教職員一同で感じています。


 さて11月早々には、りんりん祭、「小さな探検隊、どんなものが見えるかな」と、りんりん委員さん達が考えて下さった楽しそうなテーマでのおまつりが開催されますが、例年、子ども達の多彩な発想や豊かな創造力に出会えるのが楽しみです。一人ひとりがイメージしたものを大人の知恵をお借りしながら、クラスで形にし、まとめていく過程を楽しんで行きたいと思います。この活動も、保護者の皆様のご協力を仰ぐこととなりますが、子ども達にとっては、お友達のお父さんやお母さんと、親しく関わりを持てるとても素敵な経験となる事と思います。お時間の許す中で、我が子だけでなく、子ども達との会話も楽しみながらご協力をいただけると大変嬉しく思います。どうぞ宜しくお願い致します。


 先日地域の方から、運動会での園児達の姿をお褒め頂きました。「とてもよかった、子ども達が生き生きとして、素晴らしい内容でしたね」と、とても嬉しいお話でしたがその数日後、全日本私立幼稚園教育研究機構より、2年前に取り組んだ第3者評価を伴う公開保育実施園に対しての「ECEQ」認定証がとどきました。随分と時期が遅くなって、届いたものですが、私たちの園の幼児教育の質が高く評価されたものと、素直に受け止めています。幼児教育の無償化と共に取り入れられた、このECEQのシステムが、これからの日本の幼児教育に本当の意味で寄与出来る様に、形骸化する事のないようにあってほしいと願っています。それが、日本の私立幼稚園へ課せられた重い責任でもあると考えます。そしてこれからも、自園の保育の質の向上を広い視野を持って、教職員力を合わせ、取り組んでいきたいと考えております。


注 ECEQとは(公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構による「公開保育を活用した幼児教育の質向上システム」である。
posted by はやし太郎 at 19:15| Comment(0) | 園だよリ

令和元年度 10月のおたより


昨今、世界的にも異常気象といわれることが、珍しくなくなり、むしろ異常といわれる現象が、普通になってきたかのようにさえ感じます。台風15号による、甚大な被害状況は他人ごとではなく、いつ私たちに降りかかってもおかしくないことです。特に私たちの生活の基盤である[電気]という当たり前のように存在しているインフラが途絶えることで、幼い子供やお年寄りなど弱者に与えるダメージがどれだけ大きいかを、今回の災害は改めて示してくれました。先週、保護者の皆様にご協力いただいた「お迎え週間」も、いざというときにどのように対応すべきかなど、最善の策を、ご家族で話し合われておくことも含め、よいきっかけにして頂けたことと思います。できなかった方も、この期間に限らず、御協力をお願い致します。また、被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。


さて、今月12日に運動会が開催されますが、幼稚園の様子を見ていますと、まだ子ども達は、運動会に対して、気持ちの面で温度差があり、様々な捉え方をしている様子です。

特に年中、年長児たちに対しては、園の環境の中で、やってみたくなるようにと、運動的な遊具、教具を整え、または、競うことが楽しいという経験を様々な場面で提供していますが、その活動や環境の目新しさに飛びつき、やってみる子どももいれば、まったく興味をひかず、横目で眺めている子どももいる様子があります。先生たちは、友達が楽しそうにやっていたり、夢中になっていたりする姿から興味を持って、気持ちを向けてくれればと、様々な工夫をし日々の園生活をプログラムしています。その中で、一人一人の気持ちに寄り添いながらも、「仲間と共に心を向けていく」という感覚を、運動会を経験することで、その子なりに、学び合い、その良さを知っていくこともできればと、考えておりますが、子ども達が個として、又集団としてどのように育ちあっていくのかが楽しみです。

人生で初めて運動会を経験することになる年少児たちは、ものや人との繋がりを楽しむ姿が、ままごとや砂場遊びの中で、少しずつ見られるようになりました。けれど一人一人をよく見ていくと、まだお友達と「手をつないで歩むこと」もままならない身体バランスのお子様も大勢です。年少児たちは、自分で様々な身体の動きを調整させていける様に、日常の遊びの中で、身体を動かすことを自然に取り入れていくことをめあてにしていますので、過度に集団行動としての運動会を意識させず、当日をお友達と一緒に楽しみに迎えられればと思っております。そして運動会が終わっても、学年を問わず、子ども達の中に、身体を動かすことへの興味や関心が途絶えずに、もっとやってみたくなる、まだまだ挑戦したくなる、そんな心が芽生えてくれていればと考えておりますので、どうぞ運動会へ向かう過程、当日、そして終わった後も、お子様の成長を見守り、応援していただきたいと思います。


 下旬にかけては、秋の自然をハイキングで楽しみます。歩く経験が少なくなっている今の子ども達にとって、自分の足で、最後まで歩ききることは大変なことではありますが、友達と声を掛け合い、やりきる経験は、楽しさと気持ち良さを呼び覚ますことになるのではないでしょうか。ハイキングに行くとその序盤から子ども達の口からとてもよく出る言葉「疲れた〜」が、「気持ちよかったね」になるように、楽しんできたいと思っております。また、春に植えたサツマイモ堀りも楽しい活動です。楽しみながらたくさんの興味関心を生み、学びにつなげていくことができる活動ですので、丁寧に取り組んでいきたいと考えております。園生活が充実するにつれ、ご家庭でもお子様の生活の仕方が定着してきているのではないでしょうか。そこで何より「朝ごはんをしっかりと楽しく」食べられるように、ご家族で工夫をして頂ければと思います。子ども達の元気のもとは、良い睡眠と朝ごはんです。充実した午前中を過ごすために、どうぞ宜しくお願い致します。


posted by はやし太郎 at 19:12| Comment(0) | 園だよリ

令和元年度 9月のおたより

今年の夏も猛暑に悩まされましたが、皆様は、ご家族で、楽しい夏の思いでを作られたでしょうか。楽しい思い出を話してくれる子ども達は、背丈も一回り大きくなり、陽に焼けた笑顔を見せてくれながら、声も大きく、とても賑やかです。夏という季節が特にそうなのか、夏休み明けにエネルギーを蓄えた子ども達の成長ぶりには、いつも驚かされます。この子ども達の心と身体の成長を、より確かなものにするためにも、2学期以降の園生活を充実させなければと、私たち教職員も気を引き締めて頑張りたいと思っております。


さて、私もエネルギーを補給するために、研修でとても興味深いお話を聞いて参りました。慶應義塾大学の教育経済学者、中室牧子先生の「教育に科学的根拠を」という講義で、シカゴ大学(米国)で、20年程前から行なわれている幼稚園教育プログラムの実証実験についてのお話でした。昨今、世界的に幼児教育が注目を集めるようになったのは、1960年代半ばに始まった実証実験で科学誌サイエンスに発表されたペリー幼稚園プログラムが根拠となっているのですが、その後の新しい実証実験についてのお話でした。この実験のために、とあるヘッジファンドから拠出された10億円で作られた幼稚園での実験で、ひとつは読み書き、算数などを習得させる認知能力中心の幼稚園教育、2つめは自分で考える力を重視し、自制心や人との協働性、勤勉性や、やり抜く力など非認知能力を伸ばす幼稚園教育、3つめは集団生活を経験させずに、保護者の努力で育てるという3つのグループに子ども達を分けてその後の成長を比較検証するというものでした。

すると、今現在20代前半に成長した子ども達ではありますが、その個人のIQ(知能指数)の差はあまり関係なく、非認知能力を高める幼稚園グループに属する子ども達の成長が、人間関係は良好で、就学率、就職率は高く、犯罪率は低く、全てに、より優位な状況に成長している、と言う研究結果が示されているそうなのです。

中室先生は、日本の教育現場ではこの「実験」という科学的手法が馴染まない為に、良さそうなことが「なんとなく政策に織り込まれ、なんとなく消滅していく」を繰り返しているという現状への問題提起をされ、次に諸外国の科学的根拠に基づいた教育プログラムの取り組みについてもお話し下さいました。「子ども」と言われる年代の中で施される教育の中で、最も効果が高く表われるのが、幼児教育であり、だからこそ、その質が問われる、と言うことも語られました。粗製濫造で数を増やし、質の担保がされない幼児教育では、その教育的効果がないばかりか、むしろマイナスな影響を受けて成長してしまうということも、カナダの実証実験の結果から警鐘され、今後、起こりうる日本の問題を指摘されていました。

幼児教育の無償化も始まりますが、改めて日本の幼児教育の現状を踏まえると、なんとなく消え去ることのないように、幼児教育の果たす教育的効果を検証する必要性と果たすべき責任を感じるお話でした。

 さて、2学期が始まると、幼稚園を心待ちにしていた子どももいる一方で、お家での生活が心地よく、集団生活に、戸惑う姿もあるかもしれません。園では、そんな一人ひとりを丁寧に受け止めながら、徐々に園生活のリズムを取り戻せるように、過ごしたいと考えております。ご家庭でも、あまり焦らせずに、ゆっくりと見守れるくらいの余裕を持って、朝の準備や帰宅後の過ごし方にご配慮いただければと思います。園では、遊びの環境や活動の中で、仲間と関わる楽しさや自分なりに園生活を主体的に過ごすことに喜びを感じられるようにしていきたいと考えておりますので、子ども達の意欲を高める為にも「早寝、早起き、朝ごはん」のご協力を、宜しくお願い致します。

 この2学期には、園生活の節目となる大きな行事として、10月の運動会がありますので、9月の半ば頃から子ども達の気持ちが、運動会に向けられるようにしていきたいと考えています。行事は、子ども達にとっての楽しみでもあり、成長の礎にも繋がります。園では、どの行事も子ども達が、好きなこと、または苦手なことにも出会う多様な経験のひとつとして捉えていますので、そこに向かう日常が行事ありきにならないようにも心を配りたいと考えております。行事の度に「やらされている」という感覚で、練習に明け暮れないように、子ども達が、自分なりに興味を持って、主体的に取り組もうとする姿を大切にしながら、導き支えていきたいと思います。また、この過程では、子ども同士の関係に様々な人間模様が見えてくることもありますが、どうぞ広い視野と長い目で見守り、お子様の心の中で起こる様々な葛藤を成長への布石として受け止めて頂きたいと思います。お子様の様子でご心配があるようでしたら、どうぞ遠慮なくお声かけ下さい。今学期も行事だけでなく、保護者の皆様には、ご協力を仰ぐ機会が多々あるかと思いますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
posted by はやし太郎 at 19:03| Comment(0) | 園だよリ